国試キーワードの変化

 前述の通り、過去10年間のキーワードと第51回を比較すると20%以上の新出がありました。過去10年間での新出キーワードは毎年10〜15%ですから、第51回はキーワード新出量として多かったといえます。何が新しく見えたのかというと、①アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5に基づく表記、②職域拡大や学術的伸展を反映した表記、③原語表記に分類してみることができます。

 ①DSM-5による変更の代表には「注意欠如・多動性障害(基礎の午前第100問、OTの午前第47問)」があります。第49回までは「注意欠陥・多動性障害」と記述されていましたが、日本精神神経学会が示した訳語が用いられていました。しかし、「アルコール依存症患者」のようにICD-10の方を採用して、DSM-5のアルコール使用障害と訳されているものが使用されていないものもありました。

 ②職域拡大については、昨今の災害へのPT・OTの関わりを代表するものがありました。多職種連携、精神保健審判員、就労、若年性認知症施策の強化、産業精神保健活動、健康管理支援、緊急措置入院、大規模な災害、死傷災害など、多くのキーワードが見つかりました。

 ③原語表記については、これまでと同様にカタカナ表記から日本語表記で読み方が種々あるものが原語化されたものや、原語化はGMFCS(growth motor function classification system)extended and revisedのように括弧書きされたものがGMFCSと略されていくものが変化として見られました。例えば、第51回で出題されたRey Auditory Verbal Learning Test〈RAVLT〉については、次回以降、「RAVLT」と略されても理解できるようにする必要があるということになります。

 また、とても小さな表現の変化ですが、括弧書きが( )から〈 〉に変わっていました。これは医師や看護師の国家試験にも見られた変化でありました。問題文には全く影響はありませんが。

新出キーワードに対応するために

 新しいキーワードが国家試験問題として登場することは、専門としての学問が進化する過程でもあります。先端の治療法や評価法にも注意を払って学ぶべきです。キーワードはそれ自体、出題頻度や出題分類を読み取る上で受験対策に役立ちます。ただし、受験勉強をするときは、その語彙を理解しているだけでなく、その語に関係する幾つかの領域を連結して覚えておくことが有効のようです。

 「疾患と障害」を中心にしてその「評価」と「治療法」が国家試験問題の構成としてある以上、1つのキーワードからその語の「疾患と障害」に関連する「評価・検査」と「治療法」の知識と連結することで、理解を深めることができます。言い古されたことですが、知の結晶化のためには単語帳を見直すだけでなく、その周辺の知識と連結して覚えていくことが、学習法の1つであるようです。

2016年9月(文責 リハナビマスター)