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アフリカ・エチオピアの医療事情一般とエチオピアの理学療法
【著者プロフィール】
伊藤智典・理学療法士。青年海外協力隊(JOCV)隊員として2004〜2006年までエチオピアで活動。2007年から渡英。
エチオピアの首都アディスアベバ
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今回は、アフリカとエチオピアの医療・理学療法の概要について触れ、最後にエチオピアで実際に理学療法を行った患者さんの病気や怪我などについて述べたいと思います。
アフリカの医療事情
アフリカは日本から遠いので、なかなか想像しにくいかも知れませんが、WHOのStatiscal Information System(http://www.who.int/whosis/en/)やUnisefの年次報告などから、アフリカの保健・医療に関する情報が得られます。サハラ以南に位置するアフリカの国々は、特にAIDS/HIVが蔓延している地域であるといわれています。
近年の保健・医療に関する活動の発展などによって、世界的に5歳未満の子供の死亡率は減少して1000万人以下となり、またHIVに感染している人々の伸び率は過去の予想値を下回るなどのいくつかの成果を得た一方で、サハラ以南のアフリカ地域では16%の子供が5歳未満で亡くなり、先進国のその率、0.6%と比較すると大きく異なる事が分かります。統計の方法や各国の状況の違いにより、数値は必ずしも正確であるとは言えないようですが、日本とアフリカの医療事情を比較すると、アフリカは非常に脆弱な地域であるといえます。
エチオピア(正式名称:エチオピア連邦民主共和国)医療事情
エチオピアは、世界的に最貧国の一つであると言われています。人々はコーヒー、メイズ、テフなどの農業を主要産業としているため、天候によって影響を受けやすく、近代における旱魃や飢餓による深刻な被害は日本でも良く知られています。
健康的な生活は環境によって影響を受けます。例えば、エチオピアの人々の平均寿命は50歳以下と言われ、世界トップクラスの平均寿命(80歳以上)の日本と比べると約30年の違いがあります。これは肉中心の食文化や、緊急時の医療体制、衛生状態、熱帯系の病気などが関与しているようです。
医師の充足率はもちろん低く、診察を受ける為に2日、3日歩いてくる人々も沢山おりました。エチオピア人の半分以上はキリスト教徒であると言われ、病気になると、教会へ行って祈る人々もいます。薬が届かない、人工呼吸器はあるけれど酸素がない、検査器具を直せる技術者がいないので数ヶ月壊れたままで経過しているなど、医療自体というよりは、それを取り巻く環境が非常に深刻です。
エチオピアの理学療法事情
2001年からVolunteers Service Organization(VSO)が関与してゴンダール大学付属病院に理学療法科が設置され、大学に学部設立が検討されました。2004年からは私が参加し、2006年には、エチオピア初の理学療法士85名が卒業しました(当初4年制だったが、政策転換により3年制へ短縮された)。
この他、都市部では海外から来たボランティアの理学療法士によってトレーニングを受けた理学療法アシスタントと呼ばれる人々が、クリニックや病院、美容関係で勤務をしている事もあります。
首都アジスアベバにあるティクルアンバサ・ハキームベット(ブラックライオン病院)ではこの度、25名程の理学療法士を採用し、国内で最も大きいリハビリテーションセンターを設立するそうです。また、理学療法における必需品として杖、車椅子、義肢、装具などがあげられますが、これに対しては全国各地に工場があり、画一的に作成して配布するほか、有る程度オーダーメイドとして作成する為、各地をキャラバンのように廻る義肢装具サービスもありました。
エチオピアの理学療法士が関る疾患
エチオピアでよく見た小児の疾患としては、先天性内反尖足や脳性麻痺、火傷などです。地方では今でも焚き木を用いて料理をしている人々が多く、小児の火傷は深刻な問題です。
成人ではエイズ発症後・結核菌感染後の認知・身体機能障害、銃器損傷後の骨折、切断ほか、ハンセン氏病も治療対象でした。最近では、マラソン王国エチオピアならではの、スポーツ系疾患も増えているようです。
まとめ
今回はアフリカとエチオピアの医療や理学療法事情について大まかにお話をしました。大変そうだなあ、または、興味が湧くなあ、と思われましたか?
次回は、活動の実際について触れたいと思います。
<2008/11/19 PT・OTコラム「ターニングポイント」に掲載>
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