海外リハビリ事情
「海外リハビリ事情」では、リハビリテーション(理学療法・作業療法)について海外の動向や、現在海外で活躍している理学療法士・作業療法士の方々へのインタビューなどを多数掲載しています。
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※過去、PT・OTコラム(会員限定)等に掲載されたコンテンツを再編集し、一般公開しています。
中国における理学療法の現状 第2回
【著者プロフィール】
霍 明(ふぉー・みん)国際医療福祉大学・理学療法学科 講師。
1.中国の医療
中国の1000人当たりの医師数は1.5人,病床は2.4床となっている。北京,上海,天津,重慶などの大都市をはじめ,各省,自治区の中程度の都市にも数多くの総合病院があるだけでなく,腫瘍,心臓脳血管,眼科,歯科,漢方医,伝染病などの専門病院もある。中国人の平均寿命は71.8歳であり、主な死因はガン,脳血管疾患,心臓病などである。
中国は2003年から新しいタイプの農村協同医療制度 - 重病医療費の統一プール制度を発足させた。この制度は,個人、集団および政府がそれぞれ一定の医療費を負担する原則に基づいており,受診・入院した農民に,比率の異なる補助金が供給されるしくみで,2010年までに全国に普及する計画である。また,重病を患った貧しい農民に医療救助を行う医療救助制度を検討しており、2005年末までに全国で普及する見込みで,医療救助基金は各クラス財政の支出と社会各界の寄付によって調達されることになっている(2004年時点:駐日中国大使館のホームページより)
2.疾患構造
一般的に,経済・衛生水準の向上により感染症等の発病率が減少してきている一方,悪性腫瘍,脳血管障害,循環器系の疾患が増加し,先進国型の疾患構造に徐々に近づいている。都市部では慢性疾患が多い。他方,農村部では,肺結核を含む感染症,新生児感染症等が依然として多く,感染症及び非感染症の両者の対策が必要となっている(図2)(2003年中国社会保障情勢概要報告)。
図2 人口10万人あたりの中国の死因別の死亡率.jpg)
3.理学療法士の教育
中国では理学療法士(PT),作業療法士(OT)という資格制度は存在しない。1999年に医師資格が整備されたが,PTやOTについては,衛生部において資格制度の整備の動きはまだみられない。リハビリ医師,あるいは看護師から転職し,理学療法・作業療法などを行うことが多い。
PT養成校は、大学10校,短期大学10校,専門学校19校であり,主に2002年、2003年に設立したものが多い。推定定員数は3,000人前後である。(文献:丸山仁司:中国における理学療法学教育への国際協力. PTジャーナル.38(12):1-7.2004)。近年社会需要の増大に伴い,定員数の拡大,学校数の増加が急速に進んでいる。
PTになるための道は2つ挙げられる。1つは,外国に留学や研修することである。もう1つは,リハビリテーション技術研修コースの専門教育を受けることである。現在,国内にリハビリテーション治療士は約2万人がいるが,国際的な基準にあわせると,最終的には約30万人が必要と考えられる(PT約18万人,OT約12万人)(文献:李林:国外物理治療師的培訓情況及其対我国的啓迪 中国康復理論与実践 8(5):316-317.2002)。
4.PTの現状
理学療法の対象疾患の約半数は,「脳血管障害」である。中国のPTは他の医療職種からの転職が多い。1施設におけるPTは不足しており,PTの需要人数(希望数)は1施設あたり1.9±1.7名となっている。現職PT人数2.0±4.5名に対して充足率は51%である。中国のPTに対する社会的認知度は低い(文献:霍明:中国における理学療法士の実態調査.理学療法科学.19(4):269-274, 2004)。
5.PTの対象疾患と対象障害
筆者が行った実態調査で,理学療法の対象疾患を多い順に5位まで回答してもらい,1位を5点,5位を1点として集計した。1位は脳血管障害で49.4%と最も多く,全体に対する割合も26.2%で最多となっている。
理学療法対象障害の各順位に占める割合は,対象疾患に関連した片麻痺,関節可動域障害,筋力低下等が上位を占めた。理学療法の対象となる年齢は40~59歳が47.3%で全体の約半数を占めた(文献:霍明:前掲書)。
6.PTの社会的認知度
「名前は知っている」9.8%,「内容を知っている」17.1%,「名前・内容とも知っている」8.5%,「どちらも知らない」63.4%という結果から社会的認知度は低いといえる(文献:霍明:前掲書)。
7.PT数
日本の人口1万人あたりの理学療法士数は1.6名で,現在は供給不足の状況である。中国では,本研究の結果からみると,1施設平均2名で,全国凡そ5600施設があるので,全国の理学療法士数は約13,000名と推定できる。人口1万人あたりの理学療法士数は0.1名で,極めて少ない状況である。すなわち,中国におけるPTは質・量ともにまだまだ不足しているのが現状である(文献:霍明:前掲書)。
<2008/04/23 PT・OTコラム「グローバルNAVI」に掲載>
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