海外リハビリ事情
「海外リハビリ事情」では、リハビリテーション(理学療法・作業療法)について海外の動向や、現在海外で活躍している理学療法士・作業療法士の方々へのインタビューなどを多数掲載しています。
海外のリハビリテーション情報が気になるPT・OTさん、ぜひチェックして下さい。
※過去、PT・OTコラム(会員限定)等に掲載されたコンテンツを再編集し、一般公開しています。
米国理学療法士協会(APTA)の紹介 第2回
【著者プロフィール】
長谷川 真人・理学療法士。2001年New York University修士課程合格。日本理学療法士免許取得後、渡米。2005年5月 Certified Therapeutic Recreation Specialist資格取得、のちにNew York州PT免許取得。2008年3月〜現在は東京大学医学部附属病院に理学療法士として勤務。
第2回 APTAの目的
どんな組織も活動目標を持っていますが、その目標が明確なほど、より活動が行いやすくなるでしょう。APTAもホームページ上に組織目標として、「PTの臨床、研究、教育活動の発展を促進させること」と明確に打ち出しています。加えて、Vision2020という更なる具体的な活動目標を打ち出しています。Visionとは将来の理想といった意味で、Vision2020は2007年に発表され、西暦2020年までにAPTAがPTの更なる発展のために達成するべき6つの具体的な行動を示しています。
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1つ目のAutonomous Physical Therapist Practice (APTP) は、PTが自律的=責任を持った理学療法診療を行って、他職種と連携を取りながらも、理学療法独自の確立された診療体型を築くことを目標としています。米国では既に理学療法の業務独占が認められている州が殆どで、APTPは確実に実行されているといえます。
2つ目のDirect Access (DA) は医師の処方箋無しに、直接PT診療を受けられる体型を確立させることを目標としています。米国では、かつては、理学療法開始前に、医師の診察、処方箋が必要とされていました。しかし、効率的なリハビリテーションサービス提供の為にも、疾病、障害によっては、医師の診察無しで直接PT診療を開始するべきで、適切な教育と卒後研修により、PTのDAは可能だとされ、現在、全米殆どの州でDAが認められるようになりました。
3つ目のDoctor of Physical Therapy and Lifelong Educationは全てのPTが専門博士号を持ち生涯学習を続けていくという教育レベルの高度化を目指しています。APTP、DAの完全実現にも繋がっていく活動とされています。
4つ目のEvidence Based Practiceは全てのPT診療は明確なEvidenceの基に実施されるべきという概念で、現在の医療全体の流れに沿ったもので、特に各保険会社に診療報酬請求をする際に、Evidenceの無い治療方法には保険が下りないといった状況が背景にあります。医療専門職としてのレベルアップには欠かせない目標といえます。
5つ目のPractitioner of Choiceは、多様な医療職が混在する米国において、人々に選んで頂ける医療職としてPTを確立させていく目標で、PTの専門性、独自性、有効性を更に高めていこうとする活動です。
6つ目のProfessionalismは、最適な健康を提供するといった共通目標を持った医療チームの中で、機能障害を治療し予防する専門家として、常に向上心を持ち、より良い活動を行っていくプロフェッショナル意識を高めていこうという目標を表しています。
このようにAPTAはPTの発展をあらゆる角度から実現させる組織として、6つのVisionを打ち出し、確実にこれらの実現に向けて活動しているといえます。
<2009/02/27 PT・OTコラム「グローバルNAVI」に掲載>
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