【著者プロフィール】
佐久間 善子
2017年 国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 理学療法学科 卒業
理学療法士免許取得
順天堂医学部附属静岡病院 リハビリテーション科 理学療法士 入職
2021年 Imperial College London, Master of Public Health (公衆衛生学修士) 入学
2022年 Imperial College London, Master of Public Health 卒業
London School of Hygiene and Tropical Medicine, Research Assistant 入職

私は現在London School of Hygiene and Tropical MedicineでResearch Assistantとして勤務をしておりますので、少し異色ではあるかと思いますが、イギリスにおける理学療法士としての就職活動ではなく、アカデミアでの就職活動について簡単に私の経験をシェアさせて頂きます。

就職活動

 私が就職活動を本格的に始めたのは修士論文を提出して卒業が確定した2022年9月頃からでした。友人の中には修士在学中から就職活動を始めていた人も多かったので、私はややスロースターターだったかと思います。イギリスでの就職活動に使用した媒体は以下の通りです;
- LinkedIn
- Jobs.ac.uk
- 各大学のWeb page

LinkedInとJobs .ac.ukはアカデミアというよりはインダストリで就職をしたい方にとって良いツールかと思います。この他にもIndeedなど他の媒体も有名ですが、このような大手の就職活動サイト上で応募するのみですと倍率が非常に高いので、申し込んでも合否の返事すら来ないことが多かったように思います。特にアカデミアに限って言えば上記のサイトに出てこない求人も多いですので、卒業生のコネクションを使って一般に公開されていない求人を探したり、自分の興味のある大学のホームページをひたすらパトロールして新規の求人が出ていないか目を光らせていました。色々試行錯誤はしましたが、結局今のポジションは大学のHP上から直接申し込んで獲得しました。
 日本とは違いイギリスは通年就職市場が空いているため、常に求人情報がアップデートされていきます。求人への申し込みにあたってはCV(履歴書)、Cover Letter(志望動機書)、Supporting Statement、推薦状(2通〜3通)の提出が必要になりますので、気になる求人を見つけたらすぐに申し込みができるよう事前に準備をしておく事が肝要です。履歴書に限って言えば、イギリスの就職活動で使用する履歴書は日本と異なり写真は不要です。また公平な選考を行うために国籍や人種などバックグラウンドを特定しうる情報は載せないように求められている場合もありますので、一度履歴書を作成して、知人(若しくは就職サポーター)などにチェックをしてもらうのが良いかと思います。Supporting Statementは日本の就職活動では使用した記憶が無いので恐らくこちら特有の書類なのではと思いますが、自身のスキルや知識が求められている仕事の内容と如何にマッチしているかを述べた書類です。各求人の必須要件に沿ってリスト化して書くのが一番わかりやすいアプローチかと思います。

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インタビュー:面接

 最初に提出した書類でスクリーニングが行われ、書類審査に通過すると面接に呼ばれます。私の場合は面接と、面接を受ける1週間前にスキルベースアセスメント(知識・技術審査)を受ける必要がありました。スキルベースアセスメントは主にResearch Assistantとして配属されるプロジェクトの背景知識の理解の確認と、自分だったら当該命題にどのようにアプローチをするかという研究計画書の提出でした。英語力で他の志願者に大きく劣る分、このアセスメントのおかげでなんとか首が繋がった気がしています。私は多国間プロジェクトに応募したこともあり面接官がイギリス国内におらず、オンラインでの面接でした。面接は3対1で行われ、基本的には志望動機やスキル・知識の確認、事前に提出していた研究計画書に関しての質疑応答の30分弱で終わりました。

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内定:契約書サイン

 思っていたよりも早く内定を出して下さり、面接の翌日には条件付きオファーを頂く事が出来ました。そこから契約書へのサインや不足していた書類・IDの提出、またバックグランドチェックなどを経て正式なオファーを受け取り、勤務開始となっています。内定を頂いた際に倍率についても教えて頂きましたが、やはりイギリス、ロンドンでの就職となると競争は熾烈を極めます。私もオファーを頂くまでアカデミアだけで50弱は申し込みをしましたので、改めて、諦めずに申し込み続ける重要性を実感しました。
 イギリスでの就活を経て、英語が母国語でない分、理学療法士としての医学・リハビリの知識や病院クリニックでの勤務といった経験は他の応募者と差別化を図るのにかなり強みになると実感しています。イギリスは日本と比較して新卒の研修制度が十分ではなく、即戦力を求める傾向が非常に強いですので、謙虚になりすぎず、経験や強みを積極的にアピールして自分の理想ポジションを獲得していただければと思います。

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